Page 32 - 2022年度国民経済・社会発展計画の執行状況と2023年度国民経済・社会発展計画案についての報告
P. 32
増し、大国間の対立、地政学的な衝突によって世界的政治リスク、グローバル経済
リスクが一段と高まり、食糧・エネルギー安全保障の課題が際立ち、グローバルな
産業チェーン・サプライチェーンが深刻な影響を受け、先進諸国による緊縮財政の
アナジー効果が絶えず顕在化し、世界経済の成長の原動力が弱く、世界金融市場の
リスクが増大し、外部環境の不安定・不確実・予測不能な状態が続いている。国内
的にみれば、わが国の景気回復の基盤固めがいまだできておらず、発展の不均衡・
不十分という問題が依然として際立ち、総量性問題、周期性問題、構造的矛盾がいっ
そう露呈し、需要の縮小、供給体系への衝撃、市場期待の後退という三重の圧力は
依然として大きい。具体的には、①総需要の不足という問題が依然として際立つ。
消費の回復と伸びを制約する要因がなお多く存在し、製造業への新規投資による下
支えが弱く、不動産投資の持ち直しが大きな課題となり、民間投資の意欲と能力が
やや欠けている。一部の地方では、プロジェクトの要素の保障が不十分であるなど、
インフラ投資にとっても大きな制約となっている。世界経済の低迷に保護主義によ
る影響が重なり、世界貿易の成長が鈍化し、国際市場での競争がますます激しくな
り、輸出の安定した拡大がいっそう難しくなっている。②供給面の構造的制約が比
較的強い。科学技術イノベーション能力の向上が待たれ、一部の基礎素材とカギと
なる設備、重要部品などの「ボトルネック」の問題が目立ち、産業チェーン・サプ
ライチェーンにある障壁・目詰まりが依然として多い。食糧の安定生産が不確実性
を伴い、一部の農産物と農業資材の需給関係が「逼迫した中での均衡」状態にあり、
国際市場の食糧価格が高止まりし、国内に波及するリスクが依然として存在してい
る。石炭需給の逼迫状態が続き、天然ガスの安定供給の圧力が比較的大きく、異常
気象のなかでのエネルギー安全保障能力をいっそう向上させる必要がある。社会全
31